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ACTにおける「価値」とは
アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)における「価値」とは、人生の方向性や指針を示すものとして定義されます。これは、目標や達成すべき具体的な結果とは異なり、個人がどのように生きたいか、何を大切にしたいかを表すものです。価値は「人生のコンパス」とも例えられ、行動や選択を導く基盤となります[4][8][15]。
価値の特徴
- 達成不可能なもの
- 価値は目標のように「達成」されるものではありません。例えば、「健康であること」は目標ですが、「健康を大切にする」という姿勢は価値です。価値は方向性を示し、常にその方向に向かって行動することが求められます[4][8][15]。
- 個人にとって重要なもの
- 価値は他者の期待や社会的な基準ではなく、個人が自分自身で選び取るものです。これにより、価値は非常に個別的であり、他人と比較するものではありません[4][6][18]。
- 行動の指針
- 価値は具体的な行動を伴います。例えば、「家族を大切にする」という価値を持つ人は、家族との時間を優先する行動を取るでしょう。このように、価値は抽象的な概念ではなく、日々の行動に反映されるものです[9][19].
- 柔軟性を持つ
- 人生の状況や環境が変化する中で、価値は柔軟に適応することが可能です。ただし、根本的な価値観は変わらないことが多く、それが個人の一貫性を保つ要素となります[8][13].
価値と目標の違い
ACTでは、価値と目標を明確に区別します。
価値 |
目標 |
達成不可能(方向性を示す) |
達成可能(具体的な結果) |
継続的な行動を促す |
一時的な達成で完結する |
例: 「他者を助けることを大切にする」 |
例: 「ボランティア活動に参加する」 |
価値は目標を設定する際の基盤となり、目標は価値に基づいて選ばれるべきものです[8][9][19]。
価値の明確化プロセス
ACTでは、クライエントが自分の価値を明確にするための具体的なプロセスが用いられます。
- 価値の同定
- 自分にとって何が重要かを探る。例えば、「正直である」「他者を助ける」「成長を追求する」など、価値カードや質問を通じて明確化します[8][13][14]。
- 価値の領域を整理
- 人生の主要な領域(例: 人間関係、仕事、健康、趣味)ごとに価値を整理します。これにより、各領域での優先順位が明確になります[8][13][16]。
- 行動計画の作成
- 明確化した価値に基づき、具体的な行動を計画します。例えば、「健康を大切にする」という価値に基づき、「週3回運動する」という目標を設定します[13][19].
- 価値に基づく行動の実践
- 計画した行動を実践し、価値に沿った生活を送ることで、人生の充実感を高めます[9][13].
ACTにおける価値の重要性